武将おみくじ・武将印販売
完全マニュアル

お城や武将グッズ販売の法的注意点を徹底解説

INTRODUCTION

このマニュアルについて

このマニュアルの目的

名古屋城などの歴史的建造物や戦国武将をモチーフにした「武将おみくじ」「武将印」「御城印」「ステッカー」などのオリジナルグッズを販売したいと考えているクリエイターの皆様に向けて、法的な注意点をわかりやすく、具体的に解説します。

こんな方におすすめ

  • お城のイラストを描いて販売したい
  • 武将おみくじを作りたい
  • 武将印・御城印を制作したい
  • イベントやオンラインで販売予定

基本的には問題なし!

ご自身で描いたオリジナルイラストであれば、歴史的建造物や武将をモチーフにしたグッズ販売はほとんどの場合問題ありません。ただし、いくつかの注意点を押さえる必要があります。

注意すべき3つの権利

  • 著作権 - 基本的にOK
  • 商標権 - 最も要注意
  • 施設管理権 - 販売場所に注意

免責事項

このマニュアルは一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の状況については、弁護士・弁理士などの専門家にご相談ください。

CHAPTER 01

基本的な考え方

グッズ販売の3つの権利関係

著作権

基本的にOK

歴史的建造物は著作権が消滅。自由に描いてOK

商標権

要注意

公式マークやロゴは使用NG

施設管理権

場所に注意

敷地内販売は許可が必要

グッズ販売の判断フローチャート

イラストは自分で描いた?
YES
NO 著作権侵害のリスク
公式マーク・ロゴを使用している?
NO
YES 商標権侵害のリスク
「公式」と名乗っている?
NO
YES 誤認のリスク
販売OK!
CHAPTER 02

著作権の理解

著作権とは?

著作権は、創作物(絵画、音楽、建築物など)を創作した人に与えられる権利です。原則として、著作者の死後70年で権利が消滅します。

著作権の有無による違い

対象 著作権の状態 利用可否 理由
名古屋城 消滅 ✓ OK 設計者の死後70年以上経過
大阪城 消滅 ✓ OK 歴史的建造物
織田信長 消滅 ✓ OK 歴史上の人物
徳川家康 消滅 ✓ OK 歴史上の人物
他人のイラスト 存在 ✗ NG 現代の著作物は保護される
他人の写真 存在 ✗ NG 撮影者に著作権がある

具体例:何がOKで何がNG?

✓ これはOK

自分で描いた
名古屋城のイラスト

ゼロから自分で描いたオリジナルイラストはOK

✓ これはOK

自分で描いた
織田信長のイラスト

歴史上の人物を自分の解釈で描くのはOK

✗ これはNG

他人のイラストを
トレース・模倣

他のグッズやウェブサイトの絵を真似るのはNG

✗ これはNG

他人の写真を
そのまま使用

ネット上の写真を無断で使うのはNG

著作権法第46条「屋外設置の美術著作物」

屋外に恒常的に設置されている美術著作物(建築物を含む)については、自由に利用することができます。これにより、城や寺社仏閣などを描いたイラストをグッズ化することが可能です。

ポイント

  • 歴史的建造物や歴史上の人物は自由に描いてOK
  • 必ず自分でゼロから描くこと
  • 他人の作品を参考にする場合も、完全にオリジナルのタッチで描き直す
CHAPTER 03

商標権の注意点

最も注意が必要な権利!

商標権は、商品やサービスの名称・ロゴ・マークを保護する権利です。公式のマークやロゴを無断で使用すると、商標権侵害になる可能性が高いです。

商標権とは?

商標権は、商品やサービスの出所を示すマーク(文字、図形、記号など)を保護する権利です。登録された商標は、10年ごとに更新可能で、半永久的に保護される可能性があります。

使用NGなもの(具体例)

公式キャラクター

はち丸
(名古屋城公式キャラ)

理由:公式キャラクターは商標登録されており、著作権もあります

公式シンボルマーク

丸八マーク(㊇)
(名古屋市章)

理由:市章や公式マークは商標登録されている可能性が高い

装飾的な家紋デザイン

特定企業の
装飾処理した家紋

理由:特定のデザイン処理をした家紋は商標登録されている場合あり

公式ロゴタイプ

公式看板の
筆文字デザイン

理由:特定の書体デザインは商標登録されている可能性あり

使用OKなもの(具体例)

一般的な家紋

葵の御紋
(自分で描いたもの)

条件:歴史的な家紋を自分で一般的なデザインで描く

地名・施設名

「名古屋城」
(一般的なフォント)

条件:公式のロゴタイプをコピーせず、一般的なフォントで記載

歴史上の人物名

「織田信長」
「徳川家康」

条件:人物名そのものは誰でも使用可能

オリジナルデザイン

自分で考えた
オリジナルマーク

条件:既存のデザインと類似しない独自のデザイン

商標検索の方法

STEP 1

特許情報プラットフォームにアクセス

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)

STEP 2

「商標」を選択

トップページから「商標」検索を選択します

STEP 3

キーワードで検索

「武将印」「御城印」「名古屋城」など、使いたい名称で検索

STEP 4

登録状況を確認

登録されている場合は使用を避け、別の名称を検討しましょう

重要なポイント

  • 公式マークやキャラクターは絶対に使わない
  • 家紋を使う場合は、自分で一般的なデザインで描く
  • 「名古屋城」などの地名は使えるが、公式ロゴをコピーしない
  • 不安な場合は事前に商標検索を行う
CHAPTER 04

施設管理権について

施設管理権とは?

施設管理権は、施設の所有者や管理者が、その敷地内での活動を管理する権利です。グッズのデザイン自体は問題なくても、販売場所によっては許可が必要になります。

販売場所による違い

許可が必要な場所

  • 🏯
    城の敷地内

    名古屋城の敷地内で勝手に販売するのはNG

  • 🎪
    城主催のイベント

    公式イベントでの出店には主催者の許可が必要

  • 🏛️
    公園内の特定エリア

    城公園内での販売には管理事務所の許可が必要

自由に販売できる場所

  • 🛒
    オンラインショップ

    BASE、minne、メルカリ、自分のECサイトなど

  • 🎨
    一般的なイベント

    デザインフェスタ、コミケ、地域のマルシェなど

  • 🏪
    委託販売

    一般的な雑貨店、書店、カフェなど

  • 🏠
    自宅・アトリエ

    自分の所有・管理するスペース

「公式」誤認を避ける

NGな表現

  • ❌ 「名古屋城公式武将印」
  • ❌ 「認定武将おみくじ」
  • ❌ 「名古屋城監修グッズ」
  • ❌ 「公式コラボ商品」
施設の許可なく「公式」「認定」「監修」などと謳うと、消費者を誤認させる不正競争になる可能性があります。

OKな表現

  • ✅ 「名古屋城をモチーフにした武将印」
  • ✅ 「名古屋城ファングッズ」
  • ✅ 「戦国武将おみくじ(非公式)」
  • ✅ 「歴史好きのための御城印風ステッカー」
「モチーフ」「ファングッズ」「非公式」などの表現で、誤解を避けることが重要です。

ポイント

  • オンライン販売や一般的なイベントは基本的に自由
  • 城の敷地内での販売は事前許可が必須
  • 「公式」「認定」などの表現は絶対に使わない
  • 「ファングッズ」「非公式」と明記することで誤解を防ぐ
CHAPTER 05

武将印・おみくじ特有の注意点

武将印について

「武将印」とは?

「武将印」は、「御城印」と同様に、城や武将にゆかりのある印影デザインを施した記念品です。近年人気が高まっているグッズジャンルです。

「武将印」という名称自体は使用OK

「武将印」という概念は、特定の誰かが独占する商標ではなく、一般的な商品ジャンルとして認識されています。

特定団体の商標登録に注意

ただし、特定の団体や企業が「武将印」を商標登録している可能性があります。事前にJ-PlatPatで検索することをおすすめします。

オリジナルデザインならOK

自分で考えた武将や城のイラスト+印影デザインであれば、基本的に問題ありません。

デザインのポイント

既存の御城印・武将印とは異なるデザインにする

自分のオリジナルの書体やレイアウトを使う

公式の印影やロゴを模倣しない

「非公式」「ファングッズ」と明記する

武将おみくじについて

「武将おみくじ」とは?

「武将おみくじ」は、戦国武将をテーマにした占いグッズです。各武将の特徴や歴史的エピソードを活かした内容で、歴史ファンに人気があります。

「おみくじ」という名称は自由に使用OK

「おみくじ」は一般的な名称であり、誰でも使用できます。

歴史上の武将を使ったコンテンツはOK

織田信長、徳川家康、真田幸村など、歴史上の人物をテーマにすることは問題ありません。

既存商品のコピーはNG

既存の「武将おみくじ」商品のデザインや占い文章をそのままコピーするのは著作権侵害になります。

コンテンツ作成のポイント

占い内容は自分で考えたオリジナルにする

武将の特徴を独自の視点で解釈する

イラストは自分で描いたものを使う

パッケージデザインもオリジナルにする

他の類似グッズとの比較

グッズ名 名称の使用 デザインの注意点 特記事項
武将印 基本的にOK 既存デザインの模倣は避ける 商標検索推奨
御城印 基本的にOK 公式の印影を真似ない 「非公式」と明記
武将おみくじ OK 内容はオリジナルで作成 占い内容の独自性が重要
ステッカー OK 自分で描いたイラスト使用 比較的自由度が高い
御朱印帳 OK 表紙デザインをオリジナルに 「御朱印帳風」でもOK

成功のポイント

  • 既存商品との差別化を意識する
  • 独自の世界観を打ち出す
  • 「ファングッズ」として愛を込めて制作する
  • 購入者に非公式であることを明確に伝える
CHAPTER 06

実践ステップガイド

ここまで学んだ知識を活かして、実際にグッズ販売を始めるまでの流れを確認しましょう。

1

コンセプトを決める

やるべきこと

  • どの城・武将をテーマにするか決める
  • グッズの種類を選ぶ(武将印、おみくじ、ステッカーなど)
  • ターゲット層を明確にする

Tip: 自分が本当に好きな城や武将を選ぶと、情熱が伝わる良いグッズになります

2

デザインを作成する

やるべきこと

  • ゼロから自分でイラストを描く
  • 公式マークやロゴを使わない
  • 既存のグッズとは異なるオリジナルデザインにする
  • 家紋を使う場合は一般的なデザインで自分で描く

注意: 他人のイラストや写真をトレース・模倣しないこと

3

商標検索を行う

やるべきこと

  • J-PlatPatにアクセス
  • 使用予定の名称やマークを検索
  • 登録商標と類似していないか確認

Tip: 類似商標が見つかった場合は、別の名称やデザインに変更しましょう

4

商品説明を作成する

やるべきこと

  • 「非公式」「ファングッズ」と明記する
  • 「○○城をモチーフにした」など誤解のない表現を使う
  • 「公式」「認定」「監修」などの言葉は使わない
良い商品説明の例

「名古屋城をモチーフにしたオリジナル武将印です。歴史好きの方へのファングッズとして制作しました。※非公式グッズです」

5

販売場所を選ぶ

おすすめの販売場所

🛒
オンラインショップ

BASE、minne、Creema、メルカリShopsなど

初心者向け
🎨
イベント出店

デザインフェスタ、地域のマルシェ、コミケなど

対面販売
🏪
委託販売

雑貨店、書店、カフェなど

継続販売

NG: 城の敷地内や公式イベントでの無許可販売

6

グッズを製作する

製作方法

  • 自分で印刷・制作する
  • 印刷会社に発注する(小ロット対応の業者多数)
  • POD(プリント・オン・デマンド)サービスを利用する

Tip: 最初は少量から始めて、反応を見ながら増やすのがおすすめ

7

販売開始!

販売時の注意点

  • 商品説明に「非公式」「ファングッズ」と明記
  • 購入者からの質問には丁寧に対応
  • 在庫管理をしっかり行う
  • SNSで宣伝する際も誤解のない表現を心がける

おめでとうございます!あなたのグッズで歴史ファンを笑顔にしましょう!

最終チェックリスト

0/7 項目完了

CHAPTER 07

商品説明の書き方

商品説明は、法的トラブルを避けるだけでなく、お客様に安心して購入していただくためにも重要です。適切な表現を使って、魅力的な商品説明を作りましょう。

良い例 vs 悪い例

武将印の商品説明

❌ 悪い例

「名古屋城公式武将印。名古屋市認定の正式なグッズです。本物の御城印と同じクオリティで、名古屋城監修のもと制作しました。」

問題点:
  • 「公式」「認定」「監修」と虚偽の表現
  • 公式グッズと誤認させる
  • 不正競争防止法違反の可能性
✅ 良い例

「名古屋城をモチーフにしたオリジナル武将印です。歴史好きの方へのファングッズとして、愛を込めて制作しました。イラストは全て手描きオリジナルです。※非公式グッズです」

良いポイント:
  • 「モチーフ」「ファングッズ」と明確化
  • 「非公式」と明記して誤解を防ぐ
  • 制作者の想いが伝わる

武将おみくじの商品説明

❌ 悪い例

「戦国武将おみくじ。名古屋城公認の正式なおみくじです。的中率99%!城主推薦の本格おみくじ。」

問題点:
  • 「公認」「城主推薦」と虚偽の表現
  • 「的中率99%」など根拠のない表現
  • 優良誤認表示の可能性
✅ 良い例

「戦国武将をテーマにしたオリジナルおみくじです。織田信長、徳川家康など人気武将の特徴を活かした占い内容を楽しめます。歴史ファンの方へのギフトにもおすすめ。※エンターテイメント商品です」

良いポイント:
  • 「オリジナル」と明記
  • 内容を具体的に説明
  • 「エンターテイメント」と位置づけ

御城印風ステッカーの商品説明

❌ 悪い例

「名古屋城御城印ステッカー。公式デザインを忠実に再現しました。」

問題点:
  • 「公式デザインを再現」は著作権侵害
  • 公式グッズと誤認させる
  • 商標権侵害の可能性
✅ 良い例

「名古屋城をモチーフにした御城印風オリジナルステッカーです。手描きイラストを使用し、独自のデザインで制作しました。ノートPCやスーツケースに貼って、お城愛をアピール!※非公式ファングッズです」

良いポイント:
  • 「御城印風」と表現
  • 「独自のデザイン」と強調
  • 使い方の提案もあり魅力的

使える表現フレーズ集

おすすめの表現

○○城をモチーフにした ○○をテーマにした ファングッズ 非公式グッズ オリジナルデザイン 手描きイラスト使用 歴史好きの方へ ○○城ファンのための 御城印風 武将印風 インスピレーションを得て 独自解釈による

避けるべき表現

公式 認定 監修 承認 推薦 正式 本物 コラボ商品 公認グッズ 公式デザイン

商品説明テンプレート

基本テンプレート

[城・武将名]をモチーフにしたオリジナル[グッズ種類]です。
[商品の特徴や魅力]
[ターゲットや用途の提案]
※非公式ファングッズです」

記入例

名古屋城をモチーフにしたオリジナル武将印です。
金鯱をあしらった独自デザインで、手描きの温かみを大切に制作しました
歴史好きの方へのギフトや、旅の記念にぴったりです
※非公式ファングッズです」

商品説明作成のコツ

  • 正直に、誠実に書くことが最も重要
  • 制作への想いを伝えると共感を得やすい
  • 具体的な特徴を記載する(手描き、独自デザインなど)
  • 「非公式」は必ず明記する
  • 購入者が安心して買えるような表現を心がける

まとめ

基本的にOKなこと

  • 自分で描いた城や武将のイラストを使ったグッズ販売
  • 歴史的建造物をモチーフにしたデザイン
  • 歴史上の人物をテーマにした商品
  • 「武将印」「武将おみくじ」という商品ジャンルの使用
  • オンラインショップや一般的なイベントでの販売
  • 「○○城をモチーフにした」という表現

注意すべきこと

  • 公式キャラクターやロゴマークの無断使用
  • 他人のイラストや写真のトレース・模倣
  • 既存グッズのデザインコピー
  • 「公式」「認定」「監修」などの虚偽表現
  • 城の敷地内での無許可販売
  • 特定企業の装飾的な家紋デザインの使用

グッズ販売の3つの黄金ルール

1

すべて自分で作る

イラスト、デザイン、コンテンツはゼロから自分で制作する

2

公式を真似ない

公式マーク、ロゴ、キャラクターは絶対に使わない

3

誠実に伝える

「非公式」「ファングッズ」と正直に明記する

REFERENCE

困ったときの相談先

商標検索

使用予定の名称やマークが商標登録されているか確認できます

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)

法的相談

著作権や商標権について専門的なアドバイスが必要な場合

相談先:

  • 弁護士(知的財産権専門)
  • 弁理士
  • 各地の法律相談窓口

施設への確認

特定の城や施設についての具体的な質問がある場合

相談先:

  • 各城の管理事務所
  • 文化財保護課
  • 観光協会